岩手県の海岸沿いを走るリアス線は、南端の盛駅から北端の久慈駅まで海岸沿いを約4時間かけて結びます。
2019年3月23日、三陸鉄道リアス線が全線開通しました。
これまでは盛駅〜釜石駅の南リアス線と、宮古駅〜久慈駅の北リアス線がそれぞれ別々に運行していましたが、釜石駅〜宮古駅間が開通したことで、北から南までが1本の線路で結ばれました。
三陸鉄道が通っているのは太平洋に面した岩手県の海岸沿いです。この辺りは漁場としても有名な三陸海岸の一部をなし、複雑に入り組んだリアス式海岸の絶景が広がっています。
列車には盛から久慈までを1本で結ぶものと、各区間のみを運行するものがあります。眺めのいい途中の駅では数分間停車してくれるため、景色を眺めたり写真撮影をしたりすることが可能です。
- 鉄道
- 仙台からは鉄道もしくはバスで気仙沼へ、そこからJR大船渡線BRTで盛方面へ。新幹線利用の場合で所要約4時間。前日の宿泊は盛からBRTで4分の大船渡周辺がおすすめ。
- いわて花巻空港からはJR釜石線で釜石へ、そこから三陸鉄道に乗車できます。
盛駅
駅の待合室のなかに自動券売機があるので、こちらで切符を購入。フリー乗車券など特別な切符を購入する際はいくつか注意点があります。リアス線のホームへは待合室を出て歩道橋を渡ります。MAP
- 鉄道
- 久慈行きの列車に乗車。
三陸鉄道リアス線
盛駅から乗車する場合、列車の進行方向向かって右側の席が海側です。進行方向はBRTの大船渡駅の方向になりますのでご注意ください。
久慈に向けていざ出発。大船渡の市街地を抜けると、しばらくは山やトンネルが続きます。
10分ほどで綾里駅に到着。洋風のユニークな駅舎です。リアス線の駅名にはそれぞれ愛称がつけられており、綾里にはこの地の伝説にちなんで「綾姫の里」という名がつけられています。
綾里の隣駅、恋し浜は元々「小石浜」という名前の駅でしたが、今では「愛の磯辺」の愛称を持つ恋愛スポットになっています。駅には数多くのホタテ貝の絵馬が掛けられています。
世界三大漁場といわれることもある三陸沖は魚介類の宝庫。吉浜駅のある吉浜も「キッピン干鮑」(きっぴんかんぽう)と呼ばれる干しアワビが有名です。
釜石の手前の平田駅からは釜石大観音が見えます。高さ48.5メートルの巨大な白い観音像です。
旧南リアス線の北端、釜石は日本の近代製鉄業発祥の地であり、鉄鉱石から鉄を精錬する高炉がありました。橋野鉄鉱山と高炉跡は世界遺産に登録されています。
列車はさらに先へと進みます。途中の大槌駅の駅舎もとてもユニーク。屋根の上にあるのは、あの人形劇でおなじみの『ひょうたん島』です。大槌湾には蓬莱島と呼ばれる小島があり、『ひょうたん島』のモデルになったといわれています。
お隣の駅、吉里吉里は『ひょうたん島』と同じく井上ひさしの作品『吉里吉里人』の舞台です。『吉里吉里人』はこの街が日本から独立したというストーリーの小説です。
吉里吉里から陸中山田に至るまでは主に海岸沿いを通るため、海がよく見渡せます。陸中山田駅にはオランダ風の風車があり、これはかつて江戸時代にオランダ船「ブレスケンス号」が山田湾に投錨したことに由来します。
陸中山田を過ぎると列車はしばらく内陸を走ります。
閉伊川を越えると宮古駅に到着です。宮古は三陸鉄道の駅のある街のなかでは比較的大きく、古くから漁港として栄えた街です。ここから先は旧北リアス線の区間になります。
一の渡から佐羽根の辺りは、長いトンネルと深い山々の景色が続きます。佐羽根駅にはかわいらしい猿のマスコットがあります。
長い年月をかけて生み出された三陸海岸の地形は、「三陸ジオパーク」として認定されています。岩泉小本駅のある岩泉町にある「龍泉洞」もその1つ。全長5,000メートルにも及ぶといわれる日本有数の洞窟です。
田野畑駅の愛称は「カンパネルラ」。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に由来します。宮沢賢治も岩手ゆかりの人物です。
白井海岸と掘内の駅の中間、大沢橋梁は海を見下ろせる絶景ポイントです。海岸の岩肌に打ち寄せる白い波は、美しさと同時に自然の持つ荒々しさを感じさせます。
終点の久慈は2013年のテレビドラマ『あまちゃん』のロケ地として有名になりましたが、少し手前の駅、掘内もロケ地の一つです。ここからも海が見渡せます。
ここまでくれば久慈まであと少し。十府ヶ浦海岸駅の近くにはホタテ貝をモチーフにした「ほたてんぼうだい」があります。
- 鉄道
- 終点の久慈で下車。
久慈駅
約4時間半かけて久慈駅に到着です。長旅お疲れ様でした。MAP
『あまちゃん』のロケ地である久慈市内には、久慈駅前デパートや小袖海岸など、ドラマの名シーンが撮影された場所が点在しています。7月〜9月には海女さんの素潜りも見学できます。
また、久慈は古くから琥珀の産地としても有名で、琥珀にまつわる歴史と文化を知ることができる久慈琥珀博物館があります。
市内を観光する場合はレンタサイクルが利用可能です。三陸鉄道の久慈駅内の窓口で借りることができます。